
わたしは、カレー沢薫先生のファンです。
初めて作品を読んだとき、その独特なユーモアと鋭い視点にすぐに引き込まれてしまい、それからせっせと読み続けています。
カレー沢先生の作品はただ笑わせてくれるだけでなく、ときどき深い社会的なメッセージや人間関係のリアルを描いていて、読んだ後に考えさせられることもあります。
今回は、そんなカレー沢先生の作品の中で、わたしが特に好きな本を紹介しようと思います。
どれもユーモアたっぷりで、読み終わった後に少し心に残るものばかりです。
カレー沢薫先生の独特な世界観に触れたことがない人にも、ぜひ知ってもらいたいです。
カレー沢薫とは?
カレー沢薫先生は、日本の女性漫画家・コラムニストで、ブラックユーモアや風刺を効かせた作品で知られています。
会社員時代から作家活動をはじめ、現在は専業作家として活動しています。
マンガだけではなく、エッセイやコラムの執筆も行い、その独自の視点と鋭い切り口で多くのメディアに登場しています。
クセのある文章から繰り広げられる鋭い世の中への考察は、一見ためにならなさそうでありながら、納得させられるところがあります。
おすすめのカレー沢薫の本
ひとりでしにたい
カレー沢薫先生の本をかなりの数読んできたと自負しているわたしですが、圧倒的におすすめなのは『ひとりでしにたい』。
印象的なタイトルですが、内容も名前負けするということなく、かなりのインパクトです。
主人公は、山口鳴海。35歳、独身。
人生大成功とはいかないものの、学芸員の仕事をしながらそれなりに楽しく暮らしています。
そんな彼女の元に入ってきたのが、バリキャリだった伯母が孤独死したというまさかの知らせ。
幼きころに憧れていた伯母さんがそんな人生の最期を迎えた、ということにショックを受けた鳴海は、終活を模索しはじめるのです。
これだけを聞くと、「え、なんか暗そう…」と思うかもしれませんが、カレー沢先生にかかればそんなものは心配ご無用。
クセの強いキャラがこれでもかと出現し、暗くなりがちなテーマというのを忘れさせてくれるほどの痛快さです。
正直、絵がうまいとはいえないんですが、それが逆に味になっており、作品のよさにつながっている気がします。
ちなみにわたしの推しは、那須田青年。
一見するとエリート青年の那須田くんから繰り広げられる悪意のない毒舌と、どこか歪んだ愛が読めば読むほど切なく、コミックを読んでは「ナスダック~」ともだえずにはいられません。
2025年3月現在、『ひとりでしにたい』はまだ完結していないのですが、NHKでのドラマ化が決定したとの発表がありました。
しかも、鳴海を女優の綾瀬はるかさんが演じるとのこと!
ネットでその情報を見たときには、わたしは興奮しすぎて、同じくカレー沢先生のファンである夫にLINEで報告してしまいました。
かねがねカレー沢先生は、アニメ化などして成功しているほかの漫画家をうらやんでいる話を本に書いていますが、『ひとりでしにたい』は間違いなくカレー沢先生の大ヒット作といえるでしょうね。
『ひとりでしにたい』はマンガなので、本を読むのが苦手な人でも気軽に読めるのでおすすめですよ!

人生で大事なことは、みんなガチャから学んだ
この本は、2018年に出版された『カレー沢薫の廃人日記~オタク沼地獄~』の文庫版です。
この本の「はじめに」でカレー沢先生は、つぎのように書いています。
まず覚悟してほしいのは、この本にはゲームキャラクター「へし切長谷部」と「土方歳三」以外の話がほぼ出てこない。
そんな話は聞きたくないと思ったら、早急に本書をレジに持っていき、買って燃やせ、書棚に戻すな。
本当にこのとおりで、「へし切長谷部」と「土方歳三」が本の8割、いや9割を占めています。
ソーシャルゲーム、いわゆるソシャゲには縁のないわたしですが、この本を読んだことで、刀剣乱舞「へし切長谷部」とFGO「土方歳三」はしっかりと脳に刻み込まれました。
カレー沢先生がすごいのは、ソシャゲにまったく縁がない人間にも本を面白おかしく読ませてしまう文章力があること。
同じことを延々と繰り返しているだけのようなのに、つい惹きこまれて読んでしまう文章の巧さというものがあります。
圧倒的な文章力で「へし切長谷部」と「土方歳三」を推してくるので、一体この人たちはどんな人なのかをついネットで調べてしまったのはわたしだけではないはず。
布教力がすごいです。
毒もあり、ときには下品でもあるのに、読み終わった後に嫌な感じはせず、むしろ達成感や清々しさを味わえるのは、さすがカレー沢先生ですね。
ソシャゲをやっている人はもちろん、やっていない人も楽しく読める、なんとなくソシャゲの世界を学べる本で、疲れてやる気が出ず、生産的なことをしたくないと思ったときに読むと元気が出ます。

ひきこもりグルメ紀行
ひきこもりのプロであるカレー沢先生がまさかのグルメ旅行記を書くのかと思いきや、まさかの「お取り寄せ」で全国各地を渡り歩くという、ネットや配送が発達した現代ならではのグルメ本です。
スマホ一つで簡単にできる「お取り寄せ」すらも面倒くさがり担当編集者まかせにしてしまったというのだから、さすがカレー沢先生。
でも、毎回何が送られてくるかがわからないというのは面白そうなので、お金があればわたしもチャレンジしてみたい企画です。
さて、実際に先生がチャレンジするのは、わりと全国的に名前が知られている名産品がほとんど。
これが私たち凡人が食べて感想を述べるとしたら、「おいしかった」の6文字ですんでしまうところですが、これを延々と述べられる先生はやはり文章の天才だと毎回思ってしまいます。
食べ物を美味しそうに表現する有能グルメライターはたくさんいるけれど、こうもテンポよく、人とは違う表現をできる人はそうそういないでしょう。
実はわたしが住んでいる地域の名産品も取り上げられているんですが、この本を読むまで知らなかったことが書いてあったりして、なかなかに侮れません。
カレー沢本にしては癖も少なく、みんなが楽しみやすいグルメに関する本なので、カレー沢入門としておすすめの本です。

まとめ
カレー沢薫先生の作品は、どれもユニークでクセが強くて、読んでいるとつい引き込まれてしまいます。
笑いのなかにも深いメッセージが込められていて、読み終わった後にふと思い返すことが多いんですよね。
どの本も印象に残るものばかりなので、まだ読んだことがない方にはぜひおすすめしたいです。
次はどんな作品が登場するのか、楽しみで仕方ありません。
あなたもきっとお気に入りの一冊が見つかるはずです!