
2025年11月に京都旅行に行ってきたのですが、「京都に行ったら絶対に食べたい!」と思っていたのが「鯖寿司」です。
輸送が発展していなかった時代、新鮮な魚が手に入りづらかった京都の人にとって、魚の美味しさを味わうことができた鯖寿司はごちそうでした。
その名残で、鯖寿司は京料理の一つとして今でも有名で、京都市内には名店と呼ばれるお店がいくつもあります。
そんな中、わたしが今回お邪魔してきたのは「千登利亭」。
八坂神社や祇園に近い場所に店を構える、鯖寿司の名店としてたびたび取り上げられるお店です。
この記事のもくじ
千登利亭に到着
わたしが千登利亭に到着したのは、13時ごろ。
紅葉のハイシーズンだったので行列も覚悟していたのですが、平日だったこともあり、待ち時間もなく席に通されました。
店内は、カウンター4席、2人掛けテーブル2つ、4人掛けテーブル1つ、通りを眺められる2席と、かなりこじんまりとしています。
わたしが入店したときは、お客さんは全員外国人というなんとも国際的な感じ。
皆さん、神妙な様子でお寿司を味わってらっしゃいました。
スタッフの若い女性は英語で注文を聞いていましたが、さすがですね。
残念ながら、店内の写真は他のお客さんの迷惑になるので撮れませんでしたが、外観はこんな感じです。

ショーウインドーもいい感じです。

むし寿司と鯖寿司を注文!
鯖寿司とともに、もう一つ食べてみたかったのが「むし寿司」。
むし寿司は、甘く煮た干瓢や椎茸、穴子を混ぜ込んだ寿司飯に錦糸卵をのせて、器ごと蒸しあげるという独特のお寿司です。
京都について調べるまではわたしは知らなかったのですが、京都の冬の風物詩なんだそう。
冬というにはちょっと早いけれど、もしかしたらやっているかも…という一縷の望みを抱いていたのですが、嬉しいことに、むし寿司が始まっていました。
というわけで、鯖寿司も食べたい、むし寿司も食べたい、という欲張りなわたしが注文したのはこちら!
- むし寿司(穴子入り) ハーフサイズ 1150円
- 鯖寿司 4切れ 1960円
4切れの鯖寿司のうち、3切れはテイクアウトにしてもらったのですが、快く引き受けてくださいました。

むし寿司と鯖寿司のお味は?
鯖寿司もむし寿司も注文を受けてから作っているようで、15分ほど待ったでしょうか。
わたしは旅の記録を書いていたので、あっという間に感じましたが、来店の際には時間のゆとりを持ったほうがよさそうです。
楽しみにしていた、鯖寿司とぬく寿司はこちら!

う~ん、見るからに美味しそう!
このブログを書いている今も、思い出しただけでまた食べたくなってしまいます。
むし寿司
むし寿司の器は、手で持てないくらいアツアツ。
蓋を開けると、鮮やかな錦糸卵の黄色と、ふっくら艶のある椎茸、彩りの絹さやが目に飛び込んできます。
箸を入れると、お米と具材がふっくらとしていて、べちょっとなりがちなちらし寿司とはまったく次元が違うのがわかります。

そして口に運べば、もう納得。
むし寿司を頼んでおきながら何なのですが、実はわたし、あんまりちらし寿司は得意ではないんです。
甘い寿司飯や具材が好きではなく、ふだんはわざわざ食べることがないのですが、このむし寿司は話が違う。
素材一つ一つに対する仕事の丁寧さが伝わってくる優しい味で、派手な旨味はないのに、つい一口、また一口と食べてしまう美味しさ。
甘さが控えめで、ほっこりとするような柔らかな味わい。
穴子も甘いだけではなく、きちんと魚自体の旨味が感じられて、どの具材を食べても美味しい。
さすが、京都の名店のぬく寿司です。

鯖寿司
そして、鯖寿司ですが、やはりこちらもすごかった。
醤油などの、味をごまかすものは一切必要なし。
鯖寿司を口に運び、噛みしめると、思わず目をつぶって咀嚼したくなるような味わいが一口ごとに押し寄せてきます。
鯖の身は肉厚でふっくら、脂のノリも良しで、いいものを使っているのがよくわかります。
また、鯖のしめ具合が素晴らしい。
ギリギリ生ではないという絶妙な加減で、酢もツンとすることもなく、甘すぎず、本当に絶妙としか言いようがない。
「これがプロの仕事か…」と唸らされてしまいました。
鯖寿司は好きなので、味については結構うるさいほうだと自認しているのですが、千登利亭さんのは非の打ち所なし。
素晴らしいの一言です。

テイクアウトした鯖寿司で夕飯
その日は、テイクアウトした鯖寿司を夕飯として宿でいただきました。

宿近くのお惣菜屋さん「いづ元」で買ったぜいたく煮とわらび煮、錦市場の「麸嘉 錦店 Fuka」で買った麩饅頭、そしてビールと一緒にいただいて、The京都な感じのお夕飯です。

写真ではショウガが出ていますが、包みを開封したときは小さなチャック付きビニール袋に入っていて、汁が漏れたり、鯖寿司に染みたりしないように配慮されていました。

お土産に鯖寿司を買う
あまりにも鯖寿司が美味しかったので、家で留守番している家族にも食べさせてあげたいと、旅行最終日に再び千登利亭にお邪魔しました。
新幹線までの時間がなかったので、移動途中に千登利亭さんに電話をかけ、作り置きしていただくようお願いをしました。
到着したときにはちょうど作り終えたところで、待ち時間もなく、スムーズに受け取りができてありがたかったです。
鯖寿司一本(12切) 5880円。
わたしのパート代1日分に相当する金額で、正直、ホイホイと出せるような金額ではないのですが、「これはもしかするともう二度と食べられない味かもしれない」と思い、奮発しました。
はるばる京都から持って帰って来た鯖寿司がこちら。渋めの赤い紐がオシャレですね。

ぴちっと包まれた紙包みを開けると、こんな感じ。

ラップに包まれているおかげか、持ち帰っている途中でも魚の臭いはしませんでした。
では、ラップと竹の包みも開けてみましょう。

さすが鯖寿司一本は迫力がありますね。

鯖寿司を食べた夫や子どもたちの反応はというと、「もっと食べたかった」。
大変気に入ったという証拠なので、ケチらずに買って帰ってきてよかったということにしましょう。

千登利亭の情報
住所:〒605-0806 京都府京都市東山区団栗通大和大路西入六軒町203
電話番号:075-561-1907
営業時間:11:00〜17:00
定休日:木曜日(水曜不定休)
千登利亭の公式サイトを見る ▶ 千登利亭

まとめ
千登利亭でいただいた鯖寿司とむし寿司は、京都の食文化の奥深さをそっと教えてくれるような、静かな感動に満ちた一品でした。
派手さはないのに、ひと口ごとに丁寧な仕事が伝わってきて、「ああ、また京都に来たいな」と思わせてくれる温かさがあります。
旅先でこんな味に出会えると、それだけで心が満たされますね。
京都を訪れた際には、ぜひ自分へのご褒美として味わってほしいお店です。
