
旅行好きな人のブログやYouTubeを見ていると、旅に対するスタンスには大きく分けて2つのタイプがあることに気づきます。
ひとつは、スケジュールをきっちり決めて行動する「計画派」。
もうひとつは、その場の雰囲気や気分で自由に動く「ノープラン派」。
今回は、事前準備が大好きな“計画派”である私が、旅をもっと楽しむために心がけていること、そしてそのきっかけとなった修学旅行の思い出を通して、“予定外の面白さ”についてお話しします。
この記事のもくじ
旅には「計画派」と「ノープラン派」がいる
スケジュール通りに行動したいタイプは、旅の前から情報収集をしたり、ルートを組んだり、準備そのものも楽しみの一部と考えています。
「旅は始まる前から始まっている」とでも言うべきかもしれません。
一方、ノープラン派の人は、そのときの気分や偶然を楽しむのが上手。週末に思い立って弾丸旅行に出かけるなど、アクティブなタイプが多い印象です。
わたし自身は完全なる「計画派」。とくに海外旅行では何か月も前からガイドブックやネットを使って情報収集をします。
けれど、そんなわたしが旅をもっと楽しむために意識しているのが、「旅を予定調和にしすぎない」こと。
この考え方は、ある記憶から生まれました。
修学旅行の思い出
学生時代の一大イベントといえば修学旅行。みんなでお泊りをするという非日常なイベントに胸を躍らせましたよね。
でも、そんな楽しかった修学旅行について、何を覚えていますか?
正直、わたしは観光地自体の記憶って、あまり残っていないんです。
最後に修学旅行に行ったのがもう30年近く前で、しかも記憶力の悪さもあいまっているのは否めませんが、それにしてもこうも残っていないとは…。
食いしん坊のわたしが覚えているのは、お土産に買った〇〇がおいしかったとか、どこそこで食べた夕飯がおいしかったとか。
皆ではしゃぎすぎて現地の人に怒られたとか、新幹線の中でみんなでカードゲームをして楽しかったとか。
修学旅行の本筋でないところしか記憶にないのです。
“予定調和”は思い出に残りにくい
なぜ、たくさん巡った観光地の印象は薄く、どうでもいいことばかりを覚えているのか。ちょっと不思議ですよね。
そこで、自分が覚えているシーンの共通点はなんなのかを考えてみたとき、そこには「予定していない感情の動き」がありました。
たとえば、高校の修学旅行で行った沖縄。自由行動で那覇市内の市場に出かけたのですが、そこで目にするのは人生初めてのものでいっぱい。
赤、青、黄色と本州では見かけない鮮やかな色の魚や、豚の顔の皮。道端で売っている甘い香りのサーターアンダギー。
沖縄の市場で目に映るものはどれも目新しく、驚きでいっぱいで、今でもしっかりと覚えています。
一方のたくさん巡った観光地。首里城に行ったのはたしかなのですが、思い返してもいまいちぼんやり…。
首里城も行くのは初めてなのに、なぜ市場の記憶とこうも違うのか。
なぜなのかなと考えみると、おそらく首里城では驚きがなかったんだと思います。
首里城については修学旅行に行く前に、どのような成り立ちでできたものかとか、どういう建物なのかというのを勉強しているんですよね。
だから、実際に見ても、「あぁ、勉強したとおりだ」という程度の感情の動きしかない。
頭に知識が入っているので、それと一致するかという確認作業するのが目的になっているというか、単純に楽しめていなかった気がするんですよね。

旅行の楽しさは“意外性”から生まれる
事前に知ってしまったことは、純粋には楽しみにくい。
そう気が付いてから、わたしは有名な観光地にはあまり行かなくなりました。
観光地に限らず、飲食店なんかも同じ。わたし達は少しでも“評判のよいお店”に行きたくて、口コミを参考にしますよね。
わたしも口コミをしっかり見てしまうのですが、なかには
「思っていたほどではなかった」
「自分の期待値を上げすぎた」
という書き込みをしている人を見かけます。
こういう人も口コミによる事前学習のせいで自分のなかに理想像をつくってしまい、それとの答え合わせをしている状態なんですよね。
知識がない状態であればもっとよい評価をしたかもしれないのに、純粋に楽しめなくなっているのです。

旅に“偶然”を取り入れてみる
インターネットで情報を手軽に得られる今だからこそ、あえて意図的に“予定外”を作る工夫が必要です。
たとえば、
- 旅先で出会ったお店の人に地元のおすすめを聞いてみる
- マップアプリを使わずに、予定外の道を歩いてみる
偶然入ったカフェが、あとから旅の一番の思い出になることだってあります。
そういう、ちょっと予定外の動きをしてみるのが大切なんです。
そのためにもスケジュールは「余白」をもって、完璧にこなせなくてもOK!くらいの気持ちでいると、旅の楽しさがぐっと広がるはずです。

【まとめ】「予定通り」じゃないからこそ、旅は面白い
わたしはこれからも、旅の前の情報収集はやめられないと思います。
どんな場所なのか、どこに行こうか、何を食べようかと考える時間は、わたしにとってすでに旅の一部だからです。
でも、どれだけ事前に準備をしていても、旅先では必ずと言っていいほど「想定外」の出来事が起こります。
バスが遅れたり、予定のお店が閉まっていたり、道に迷ったり……。
そんな“トラブル”と呼ばれがちな出来事も、見方を変えれば旅の醍醐味。
むしろ、思いがけないハプニングや偶然の出会いこそが、何年経っても色あせない思い出になっていたりするんですよね。
予定調和な旅は、たしかに安心感があります。
けれど、その安心感に守られすぎると、感情が動く瞬間や、記憶に刻まれるような出来事には、なかなか出会えないのかもしれません。
旅に“余白”を持たせておくことで、心にもスペースができ、ふとした偶然を受け入れる余裕が生まれます。
その余白に飛び込んできたものが、あなたにとっての「旅のハイライト」になる可能性は、きっと高いはず。
計画と自由。
安心と驚き。
知っていることと、知らないこと。
そのバランスをどう取るかは人それぞれですが、ちょっとした“ゆるさ”や“遊び”があるだけで、旅はもっと豊かになるとわたしは思っています。
旅の本当の面白さは、思ってもみなかったところにある。
だからこそ、スケジュール通りじゃないことも、ぜひ楽しんでみてください。