
お金はわたし達の生活にはなくてはならないものです。でも、その本質について、自信をもって答えられる人はどのくらいいるのでしょうか?
・なぜ働いてお金を得るの?
・貯金や投資はなぜ必要?
・社会とお金は、どう関係してるの?
もし、こんな質問を子どもから突然されたら、あなたはすぐに答えられますか?
そんな「知っているようで、実はよくわかっていない」お金の存在について、物語を通して学べるのが、今回ご紹介する『きみのお金は誰のため』です。
『きみのお金は誰のため』って、どんな本?
著者は、ゴールドマンサックスで16年間トレーディングを経験し、現在は金融教育家として活躍している田内学さん。
この本は、
- 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2024」総合グランプリ
- リベラルアーツ部門賞
のW受賞を果たした、まさに“読むべき1冊”として話題になりました。

『きみのお金は誰のため』のあらすじ
ある大雨の日、中学2年生の優斗は、ひょんなことで知り合った投資銀行勤務の七海とともに、謎めいた屋敷へと入っていく。
そこにはボスと呼ばれる大富豪が住んでおり、「この建物の本当の価値がわかる人に屋敷をわたす」と告げられる。
その日からボスによる「お金の正体」と「社会のしくみ」についての講義が始まる。
引用:Amazon
主な登場人物は、
佐久間優斗
親がお金で苦労しているのを見て、将来はお金が稼げるような仕事に就きたいと考えている中学2年生
久能七海
投資関係でバリバリ働くキャリアウーマン。上司の命令でお金の勉強のためにボスを訪ねてくる
ボス
謎の洋館に住む男性。町の人たちからは“錬金術師”と噂されている
お金の本というと堅苦しいものが多いなか、『きみのお金は誰のため』はストーリー仕立てになっているのがポイント。
優斗と七海はボスとの対話を通し、お金や社会について考えたり、学んだりしていきます。
きみのお金は誰のため:感想・考察・名言
『きみのお金は誰のため』は話題になっていたのでいつか読みたいなと思っていたところ、Audibleを最近使い始めて、本をいろいろ探していたときに目に留まり、早速視聴を開始。
結果、これは当たりでした!
まず、話がとにかくおもしろい。節約・投資などのお金関係の本を読むのが好きなんですが、内容的にはよくても、読むのが単純におもしろいという本は多くはないんですよね。
『きみのお金は誰のため』は、ストーリー仕立てになっており、話の運びがいいので、ついつい続きを知りたくなってしまうようなおもしろさがあります。
でも、その一方で話の内容は本格的。お金がどうやったらもうかるとか、どうしたらお金持ちになれるとか、そういった小手先の自分だけが幸せになれるような方法を教えるのではなくて、社会全体をよくしていくための考え方を指南してくれます。
物語はボスが優斗と七海に突き付けた、3つの“お金の真実”からスタートするのですが、その3つとは次の通り。
- お金自体に価値はない
- お金で解決できる問題はない
- みんなでお金を貯めても意味はない
これを何の説明もなく、「はい、その通りですね」と受け止められますか?
わたしもそうですが、ほとんどのオトナはこれと真逆のことを考えているんじゃないでしょうか。
お金の力さえあれば、日々の生活や子育て・教育、老後も何とかなると考え、ひたすらお金をもうけ、蓄えればいい。
こういうのが今の日本人のスタンダードだと思うんですよね。でも、『きみのお金は誰のため』はそれではダメだと訴えかけてくるのです。
なぜダメなのかという答えは、本を読んでのお楽しみということにしますが、知らず知らずの間に随分とわたし達は“お金の奴隷”にさせられているんだなぁと感じましたね。
“お金の奴隷”にならないようにするつもりが“お金の奴隷”になっているという、いわゆる「ミイラ取りがミイラになる」です。
幸せに生きるためにお金を稼いだり、貯めたりしているのが、結果、幸せにつながらないなんて悲しすぎます。
わたしは、節約し、お金を貯えることで安心が得られる思っていたのですが、『きみのお金は誰のため』を読むと、いかに狭い自分中心の視野でしか世の中を見ていないかを突き付けられ、なんだか頭をガツンと殴られた気がします。
“老後2000万円問題”をはじめとし、お金さえあればという風潮が蔓延している今の世の中ですが、本質はお金自体ではなく、わたし達がどのような社会をつくっていきたいのかという視点が必要なんですよね。
そのために何が自分にできるのか考え、少しずつ行動していきたいと思います!

『きみのお金は誰のため』は、Audibleの無料体験を利用すれば、無料で読書を楽しむことができます。

少年、若い女性、老人まで一人何役もこなす斉藤範子さんのナレーションが素晴らしく、ついつい聴き入ってしまいました
さすがプロの朗読は違うので、ぜひ無料体験で聞いてみてくださいね