
「野菜を育てたいけれど、ベランダや小さな庭じゃ無理かな?」
そんなふうに思っている方にこそ知ってほしいのが、‟ 混植栽培 ”というスタイルです。
限られたスペースでも、植物たちが助け合いながら元気に育つこの方法は、収穫の喜びだけでなく、見た目の美しさや育てる楽しさまで味わえるのが魅力。
今回の記事では、混植プランター栽培をただいま修行中のわたしが、その魅力とおすすめの一冊をご紹介します。
この記事のもくじ
混植栽培の魅力
種類の違う野菜や花を植える混植栽培にはたくさんの魅力がありますが、わたしが感じている魅力は
- 病害虫を防げる
- 生長促進・収穫量のアップ
- スペースの有効利用
- 植えられる植物数のアップ
- 見た目が色鮮やか
です。
病害虫を防げる
1種類の野菜だけを植えていると、特定の種類の病害虫の被害にあいやすくなってしまうのですが、複数種類の野菜や花を植えることで、被害を少なくすることができます。
たとえば、
マリーゴールド
根から出る成分は線虫の発生を抑制し、花の香りはアブラムシを寄せ付けない
バジル
バジルの葉の香りはアブラムシを寄せ付けない
といわれています。
何種類もの植物を植えることで、お互いに病気や虫の被害を防ぎ、健康に育つのです。
生長促進・収穫量のアップ
植物同士の相性によっては、生長を促したり、収穫量を増やしたりできるケースもあります。
背が高い植物と低い植物の組み合わせ、根が深く張る植物と浅い植物の組み合わせなど、相性がいい植物同士だと、お互いの生長を邪魔することなく、元気に育ちます。

スペースの有効利用
植物を植えるとき、意外とできてしまうのが空きスペース。
たとえば、プランターの中心に背が高くなるような野菜を植えた場合、足元のスペースは空いてしまいますよね。
そのちょっとした隙間に、レタス、しそ、三つ葉、ハーブのような日陰でも育つような野菜を植えれば、無駄なくスペースが利用できます。

植えられる植物数のアップ
限られたスペースでプランター栽培をしている場合、1つのプランターに1種類の野菜を植えているだけでは、育てられる野菜や花の種類はどうしても少なくなってしまいますよね。
ですが、混植栽培をした場合、1つのプランターで2~3種類の野菜を育てることもできるので、お楽しみも倍増です。

見た目が色鮮やか
混植最大の魅力は、なんといっても見た目の彩りではないでしょうか。
畑をイメージしてもらうとわかりやすいと思うのですが、1種類の野菜だけがお行儀よく並んでいる姿は作業するには効率的ですが、どこか単調で殺風景に感じませんか?
このような単一栽培に比べると、混植は圧倒的に彩りが豊かなのがポイント。
収穫だけを目的にしているならば広い土地で単一栽培をするのがいいのかもしれませんが、家庭でプランター栽培をするときは収穫だけではなくて、見た目も楽しみもひとつですよね。
植え方次第では、まるで小さなベジタブルガーデンのように素敵な仕上がりにもできるので、趣味として楽しむためのプランター栽培に混植はぴったりなのです。
わが家の混植プランター栽培
ちなみに、2025年のわが家のプランターはこんな感じになっています。

こちらは、ミニトマトの根元に、赤紫蘇とイヌタデ。冬のあいだ放っておいたプランターにいつの間にか生えていたので、抜かずに混植として利用してみました。
イヌタデは道端に生えている雑草ですが、ピンク色の花が可愛いですし、食用や草木染にも使えるみたいです。

お次は、ピーマンと万年草。こちらもいつの間にかプランターですくすく成長してしまったのですが、黄色い花とモコモコした多肉の葉っぱが気に入っているので、ピーマンと育ててみることに。

そして最後の写真は、コンパニオンプランツの王道の組み合わせ、ナスとネギ。ネギは、スーパーでネギを買ったときに、根元の部分2cmほどを使わずに残し、プランターに挿しておいたのが育ちました。
ネギは害虫の被害防止になるといわれていますし、ちょっと薬味が欲しいときにハサミで必要な分だけ切って使えるので、便利です。

混植プランター栽培の参考になる本
野菜の作り方に関する本はかなりの数を読んできたと思っているわたしですが、ベランダでのプランター栽培においておすすめしたいのは、たなかやすこ先生の本です。
なぜかというと、たなか先生のプランター栽培法は、自然の力を活かした栽培法で合理的でありながら、かつセンスが抜群だから。
初めてたなか先生の本を読んだとき、目から鱗というか、「わたしが探していた本はこれだ!」と貪るように読んでしまいましたね。
‟ 手入れしすぎていないような自然な美しさのある庭 ”という雰囲気のプランターの写真は、見ていて惚れ惚れしてしまいます。
たなか先生は、これまで何冊も著書を出版されていますが、わたしのおすすめは次の2冊です。
『ベランダ寄せ植え菜園』
この『ベランダ寄せ植え菜園』は、ベランダ菜園のバイブルというべき本ではないでしょうか。
土づくりから植え方までが懇切丁寧に解説されているので、初心者さんでも本をマネしながら始めることができます。
たなか先生は、土を替えずに自然の力を最大限に利用しながら、ひとつのコンテナで植物をローテーションしながら育てるスタイルで、一般的な園芸本とは一味違うのがポイントです。
その秘訣も、どのような流れで野菜を植えているのかも掲載されているので、とても勉強になります。
そして、なによりもお手本にしたいのが、そのセンスの良さ。写真を見ているだけで、うっとりしてしまうような自然豊かなベランダはわたしの憧れです。
技術的な要素だけが載っている本は必要なときだけしか読まないですが、この『ベランダ寄せ植え菜園』は何もなくても読みたくなるような本で、わたしの一押しです。
『ベランダで愉しむ 小さな寄せ植え菜園』
さきほどの『ベランダ寄せ植え菜園』の後継本ともいえるのが、この『ベランダで愉しむ 小さな寄せ植え菜園』です。
『ベランダ寄せ植え菜園』と内容がかぶっている部分も多いですが、‟ 気候変動に合わせた「植物選び」”ということで、昨今の夏の猛暑にも適した野菜も取りあげられていて、アップデートされているのを感じますね。
まとめ
混植栽培は、ただ収穫するだけじゃなくて、植物同士が支え合う姿や、育っていく過程を楽しめるのがいちばんの魅力。限られたスペースでも工夫次第で、驚くほど豊かな菜園がつくれるんです。
今回ご紹介した本を参考に、わたし自身もまだまだ試行錯誤中ですが、その過程もまた、プランター栽培の楽しさのひとつ。
もしあなたも「ちょっとやってみようかな」と思ったら、ぜひ混植プランターにチャレンジしてみてくださいね。小さなスペースから、きっと素敵な野菜の世界が広がっていきますよ。