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疲れた心に効く韓国文学|おすすめの小説とエッセイ

子どもの頃から本が好きで、今でも年間100冊以上は本を読んでいますが、そんなわたしが最近ハマっているのが韓国の小説やエッセイを読むこと。


今回の記事では、韓国の小説やエッセイの魅力についてご紹介したいと思います。

韓国文学の魅力

現代人の生きづらさがリアル

韓国の本は小説にしても、エッセイにしても、現代人の生きづらさをテーマに描いた作品がとても多いのが特徴です。


韓国は日本以上に競争が厳しい社会になっていて、大学受験でいかにいい大学に行くかという受験戦争に始まり、次は大企業や公務員を目指すための就職活動、それをパスしたら会社で業績を上げなければ…と、人生ずっと競争し続けるのがデフォルトとなっています。


日本以上に急激に発展し、競争が激しさを増す韓国社会ですが、そこに生きづらさを感じ、はみ出してしまった人々を小説は丁寧に掬いだし、心情を豊かに描写していきます。


市井に生きる、どこにでも居そうな中高年や若者、主婦の個人的な悩みや葛藤が綴られているようでいて、社会全体の問題も考えさせられるところも魅力的です。


日本と似ていて、違う

韓国と日本は、経済レベルも生活レベルもパッと見るとほとんど変わらないようですが、よく見てみると違う部分があり、それを感じることができるのも韓国小説・エッセイの面白さです。


たとえば、韓国は儒教の影響が大きいので、年齢による上下関係の厳しさや、女性と比べて男性優位という意識が根強く残っています。


それと同時に、西洋の価値観や文化も入ってきているので、その板挟みになって苦しむ人たちがたくさんいたりします。


欧米の作品だと価値観やライフスタイルが違うので、ピンとこないところもままあるのですが、韓国の小説やエッセイは描かれるどのシーンをとっても、とても日本に似ているけれど、どこか少し違う。


だからこそ、とても共感できるとともに、新しい視点を得られるのです。


おすすめの韓国小説・エッセイ

『あやうく一生懸命生きるところだった』

著者はイラストレーターのハ・ワン氏です。


『あやうく一生懸命生きるところだった』は、わたしが韓国文学にハマるきっかけとなったエッセイ。


ポップなイラストともに綴られる文章は、ゆるく、でも率直で、心に沁みます。


仲のいい友達とおしゃべりしているような、独り言を聞いているような、時々哲学のような、人生観のような、毎日の生活にちょっと疲れた人におすすめしたい一冊です。





続編の『今日も言い訳しながら生きてます』もおすすめ。




せり
ソファでダラッとしながら読みたいような、脱力系エッセイです


『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』

「韓国の小説っていいな」と再認識させてくれたのが、この『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』。


ソウルの小さな書店を舞台に描かれる人間模様が秀逸で、とくに大きな事件があるわけでもなく、淡々とストーリーが進んでいくのに、どこか心がホッとするというか、気持ちが穏やかになる小説です。


書店オーナーのヨンジュをはじめとし、書店に集う人々は皆、辛い過去や葛藤を抱えているのですが、ほかの人と交流することで少しずつ変わっていく彼らの姿に、勇気をもらったり、考えさせられます。


著者のファン・ボルム氏は『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』が初の小説執筆だそうですが、まるで映画やドラマを見ているかのような情景感の豊かさ、心情の描き方の巧みさには驚きです。


作品中にはたくさんの本や映画が話題として出てくるのですが、ファン氏の文才はもちろん、知識量が相当なものだとわかりますね。


本自体は368ページとそれなりにボリュームがありますが、1章が10ページずつくらいで短いので、読書にまとまった時間がとれない人でも少しずつ読み進めることができます。



せり
聖地巡礼したくなっちゃいましたが、『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』があるのは架空の街なのです…


『不便なコンビニ』

ソウル駅からほど近い青坡洞の一角にある、コンビニ「Always」を中心に繰り広げられる店員や客たちの物語。


章ごとに主人公格が変わる、オムニバス形式の作品で、登場人物たちの心の機微が丁寧に描かれています。


息子について悩む母親や、就職で悩む若者などが登場するのですが、世間からどう見えるかはわからないけれど、みんな陰でひっそりと悩んでいて、それぞれ人生大変だよねと考えさせられる作品となっています。


作品のキーパーソンとなるのは、ソウル駅にいたホームレスの男「独孤(トッコ)」という人物で、このトッコ氏を中心にハートフルな展開を見せていくのかと思いきや、思わぬ方向に話が進んでいくのも読みどころです。


コンビニ経営の裏事情も覗けるような物語に引き込まれ、どんどんと読んでしまう、社会派でありながら楽しめる小説です。




せり
ドラマ化する話もあるようなので、いつか見れるのが楽しみです



『TUBE』

2020年本屋大賞翻訳小説部門第1位『アーモンド』の著者である、ソン・ウォンピョン氏による物語。


仕事も家族も失い、人生を諦めた男が自殺を図るも、それすらも失敗し…という悲惨な状況から物語は始まります。


人生に見放されたような冴えない中年男が一念発起し、自分改造を図って成功していく人生再起ストーリーではあるのですが、うまく一面だけを描くわけではなく、結構シビアな感じが漂うのが韓国小説らしいところです。


主人公キム・ソンゴンの気持ちに共感する部分もありつつも、妻という立場で、「自分の夫がこんな感じだったら、どうするだろう?」という面からも考えさせられてしまいました。





まとめ

韓国の小説やエッセイは、私たちの日常や心のひだに静かに寄り添ってくれるような魅力があります。


ときに鋭く、ときに優しく、現代を生きるわたしたちにそっと問いかけてくる作品たち。


ぜひお気に入りの一冊を見つけて、韓国文学の世界に浸ってみてくださいね。

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