※当ブログではアフィリエイト広告を利用しています

森永卓郎さんの遺言から考える、これからの暮らしと“教養”という生きる力

2025年1月、経済アナリストの森永卓郎さんがこの世を去りました。


森永さんといえば、20年も前から「年収300万円時代」の到来を予言し、日本の未来に警鐘を鳴らし続けていた人物です。


当時は賛否が分かれましたが、今のわたし達の暮らしを見ると、その予言が現実になってきていると感じる人も多いのではないでしょうか。


経済の専門家としては異端ともいえる存在だった森永さん。


そんな彼が亡くなる直前に残した書籍、『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』を最近読んで、わたしは大きな気づきを得ました。


今回の記事は、この本を通じて感じた「生きていくうえで本当に大切なモノ」について、考えをシェアしたいと思います。

『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』とはどのような本?

『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』は2024年10月に発行された、森永さん流の終活エッセイです。


がんと診断されたことをきっかけに、どのように死と向き合い、身辺を整理していったのかが綴られています。


しかし、ただの重い終活本ではありません。


ユーモアたっぷりで、森永さんらしい視点と語り口が光る、読みながら何度もクスッと笑ってしまうモリタクイズムにあふれた1冊です。


森永さんの遺言

なかでも印象的だったのが、“遺言”というサブタイトルがつけられたあとがき。


そのなかで森永さんはこのように語っています。ちょっと長いのですが、引用させていただきます。


身辺整理をして改めて思ったのは、生きていくうえで大切なモノは金では買えないということだ。

こんなことを言うと上から目線の嫌みなやつだと思われてしまうかもしれないが、もしも私が「人生で一番大事なモノは何か?」と訊かれたら「教養」と即答する。

教養とは英語で「リベラル・アーツ」。

つまり教養とは自由に生きるための技術のことで、学問的な知識があるとかないとかという話ではない。

幸せに生きるためには、暮らしに役立つ知恵を備えていることが大切だと私は伝えたいのだ。


引用:『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』


どうでしょう? ハッとさせられませんか?


教養があれば、わざわざお金をかけてテーマパークに行かずとも、日常や自然の中に楽しみを見出すことができる。


教養があれば、人とコミュニケーションをうまく築き、幸せに生きられる。


そう、森永さんは説きます。

本当の教養とは何か?

教養というと、どこか学問的で生活とかけ離れた感じがしてしまうものですが、そうではなく、「自由に生きるための技術」だと森永さんはおっしゃってるんですよね。


でも、今のわたし達の暮らしを振り返ってみるとどうでしょう?


なんでも便利、コスパ、タイパという言葉に流され、生きるための技術を自ら放棄し、外注したりするのが最先端だと思っていないでしょうか。


一見スマートな生き方に見えますが、生きるための技術と引き換えに得たものが何かといわれるとわたしにはあまりピンと来ません。


たしかに、わざわざ自分が苦労せずとも、もっと安い時給でその仕事を完璧にやってくれる人やサービスに外注するほうがコスパはいいのかもしれません。


でも、結果だけではなく、その過程に意味があるのだとしたらどうなのでしょう。


自らが考え、手を動かし、そこに喜びを見出していく。その過程そのものが幸せだとしたら…。


たとえば、森永さんはトカイナカ生活(都会すぎず、田舎すぎない地域での生活)を推奨し、ご自身も実践してきた人で、晩年は農業にも励んでいました。


野菜なんか、スーパーでキレに並べられたものを買うほうが簡単ですし、労働時間や労働力を考えたら、何ならスーパーのほうが安い。


でも、わたし自身も家庭菜園をしているからわかるのですが、苗がすくすく育っているなとか、きれいな花が咲いたなとか、単純に損得を超えたところに喜びがあるんですよね。


ところが、そういう喜びを無視し、金銭的な損得だけで合理的に考えようというのが今の世の中の主流。


どうやって生きたら自分が幸せなのかを考えないでいると、他人によってつくられた楽しみや幸せの世界に取り込まれてしまいます。


喜びの過程を無視し、結果だけを求めようとするから、他人に外注するためのお金が必要になってくるし、そのためにあくせく働いて心をすり減らし、そのストレスを埋めようとまたお金を使いと、負のサイクルがグルグルと回っているのが今の社会のような気がします。


もちろん、仕事が悪いとか、お金を稼ぐのが悪いという話ではありませんが、一度立ち止まって考えてみてもいいのではないでしょうか。

最後に──あなたにとって「自由」とは?

私たちが今、忙しい日々の中で忘れかけている“本当の豊かさ”とは何なのか。


それを、森永さんは最期の著書で静かに、でも確かに伝えています。


わたし自身、この本を読んでから、「教養」という言葉の意味がガラリと変わりました。


もっと暮らしの中で考え、作り、感じ、楽しんでいきたい。 


『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』は、そんな風に思わせてくれる1冊です。

今回紹介した本




祖母の遺品整理を通して考えたことについても書いています。

おすすめの記事